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Channel: 海の汚染は118電話
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[転載]環境白書の底質汚染に記載された汚染は、今も近くに埋め立てられ少しずつ汚染が広がっています

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水銀ヘドロが埋まっているところ

 

 酒田湾(山形県)

 大江川(名古屋市)

 徳山湾(山口県)

 水俣湾(熊本県)

                他

 

 

PCBヘドロが埋まっているところ

 

 深浦湾(横須賀市)

 京浜横浜港(横浜市)

 荒田川(岐阜県)

 大江川(名古屋市)

 敦賀湾(福井県)

 高砂西港(兵庫県)

 高松港杣場川地区(香川県)

 長崎港(長崎市)

 佐世保港(佐世保市)

                         他

 
 
昭和63年
公害の状況及び公害の防止に関して講じた施策

第3章 第3節 7 水銀、PCBによる汚染底質除去対策

 水銀による底質汚染については、48年度から行ってきた調査の結果、暫定除去基準を超え除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で42水域であった。このうち41水域は62年7月末現在で対策を終了しており、対策を実施中の水域は水俣湾(熊本県)の1水域である。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。
 PCBによる底質汚染については、47年度から行ってきた調査の結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で78水域であった。このうち71水域は62年7月末現在で対策を終了しており、対策を実施中の水域は高松港杣場川地区(香川県)の1水域である。また、その他の長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の6水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 

昭和62年

第3章 第3節 7 水銀、PCBによる汚染底質除去対策

 このうち38水域は61年7月末現在で対策を終了しており、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)当の4水域である。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。
 PCBによる底質汚染については、47年度から行ってきた調査の結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で78水域であった。このうち70水域は61年7月末現在で対策を終了しており、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)等の2水域である。また、その他の長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の6水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 
 
昭和61年
水銀、PCBによる汚染底質除去対策
 60年7月末現在で対策を終了した水域は酒田湾(山形県)、徳山湾(山口県)等の38水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の4水域である。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。

 PCBによる底質汚染については、47年度から行ってきた調査の結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で78水域であった。このうち60年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀湾(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の70水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)等の2水域であり、その他の深浦湾(横須賀市)、長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の6水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
昭和60年
 水銀、PCBを含む汚染底質除去対策
 水銀による底質汚染については、48年度において全国的に底質等の調査を行い、その後も毎年調査を行った結果、暫定除去基準を超え除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で42水域であった。このうち59年7月末現在で対策を終了した水域は酒田湾(山形県)、徳山湾(山口県)等の38水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の4水域である。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。

 PCBによる底質汚染については、47年度から行ってきた調査の結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で79水域であった。このうち59年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀湾(福井県)、高砂西湾(兵庫県)等の70水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)等2水域であり、その他の深浦湾(横須賀市)、長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の7水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 
昭和59年
水銀、PCBによる底質除去対策
 水銀
 58年7月末現在で対策を終了した水域は酒田湾(山形県)、徳山湾(山口県)等の37水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の5水域である。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。
 PCB
58年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の65水域、対策を実施中の水域は荒田川(岐阜県)等の4水域であり、その他の深浦湾(横須賀市)、長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の9水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
昭和58年
水銀、PCBによる底質除去対策
 水銀
 57年7月末現在で対策を終了した水域は酒田湾(山形県)、徳山湾(山口県)等の37水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の5水域である。
 なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。

 PCB
 57年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の62水域、対策を実施中の水域は、荒田川(岐阜県)等の5水域であり、その他の深浦港(横須賀市)、長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の12水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 
昭和57年 
 水銀、PCBによる底質除去対策
 水銀
 56年7月末現在、底質の除去等の対策を終了した水域は酒田湾(山形県)、徳山湾(山口県)等の36水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の5水域であり、その他の1水域についても底質の除去等の検討が進められている。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。

 PCB
 56年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)高砂西港(兵庫県)等の61水域、対策を実施中の水域は、新荒田川(岐阜県)等の4水域であり、その他の深浦港(横須賀市)、長崎港(長崎市)、佐世保港(佐世保市)等の11水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 
昭和56年
水銀、PCBによる底質除去対策
 水銀
55年7月末現在、底質の除去等の終了した水域は酒田港(山形県)、徳山湾(山口県)等の34水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の7水域であり、その他の水域についても速やかに底質の除去等の対策が講じられることとなっている。

 PCB
55年7月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の58水域、対策を実施中の水域は田子の浦港(静岡県)等の4水域であり、その他の京浜横浜港(横浜市)、新荒田川(岐阜県)等の9水域について底質の除去等の対策の検討が進められている。
 
 
昭和55年
水銀、PCBによる底質除去対策
 水銀
54年3月末現在、底質の除去等の対策を終了した水域は酒田港(山形県)、徳島湾(山口県)等の34水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)等の5水域であり、その他名古屋港(名古屋市)等の水域については速やかに底質の除去等の対策が講じられることとなっている。

 PCB
54年3月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の54水域、対策を実施中の水域は田子の浦港(静岡県)等の3水域であり、その他の京浜横浜港(横浜市)、荒田川(岐阜県)等の12水域についても底質の除去の対策の検討が進められている。
 
 
昭和50年
 水銀汚染
(1) 経緯
 政府は、水銀による魚介類及び環境汚染問題の広域化かつ深刻化に対処するため、昭和48年6月12日に水銀等汚染対策堆進会議を設置し、環境基準の改定、排水基準の強化、工場に対する点検、水銀の排出抑制、漁民等に対する救済、へドロ除去対策の推進、環境調査及び健康調査の実施等の諸対策を行ってきた。

(2) 水銀汚染対策
ア 環境調査の実施等
 全国的な環境調査として、48年度に、これまでの各種の調査で高濃度に水銀を含有した魚介類が発見された水域、水銀取扱工場及び水銀鉱山の周辺水域等において、魚介類、水質、底質及び土壌・農作物の調査を行った。このうち、9水域(水俣湾、八代海、有明海、徳山地先、新居浜地先、水島地先、氷見地先、魚津地先、酒田港内)については、48年11月に、またその他の水域については、49年9月に調査結果が公表された。これらの調査結果の概要は、次の?から?までに述べるとおりである。
 
魚介類
 魚介類調査は、全国47都道府県の268水域において、魚介類303種類の22,403検体、プランクトン616検体、合計23,019検体について行った。この結果、水俣湾の23魚種中5魚種、徳山湾の28魚種中5魚種、直江津地先海域の14魚種中4魚種、更に、鹿児島湾湾奥部においても19魚種中5魚種がその暫定的規制値を超えていた。これらの水域のうち水俣湾及び徳山湾においては全魚種について、直江津地先海域及び鹿児島湾湾奥部においては一部魚種について、魚獲の自主規制が行われている(第4-7-1表)。なお、直江津地先海域及び鹿児島湾湾奥部においては、魚介類の調査を引き続き行うとともに、その汚染原因について詳細な調査を行っている。
 
 
 

 また、河川においても、9河川(渚滑川、常呂川、無加川、赤川、櫛田川、宇陀川、芳野川、名張川、川棚川)の河川魚が暫定的規制値相当を超えていた。川棚川以外の8河川においては、既に、過去の調査の結果から、流域住民に対する食事指導が行われており川棚川も追加された(第4-7-2表参照)。
 
 
 
 
 
これら9河川においては、その汚染が自然的要因によることも考えられるが、底質における汚染等によることが認められるので、更に詳細な調査を行って原因と対策の効果を明らかにし、必要に応じ発生源の対策、底質の除去等の環境浄化対策を講ずるとともに、その間、引き続き魚介類の定期的調査を行うこととしている。
水質
 水質調査は、全国47都道府県の634水域の3,768検体について行った。49年9月30日に改定された総水銀に係る環境基準値を超えたものは、2.0%の76検体であり、9水域関連分を除く523水域の3,081検体中環境基準値を超えたものが1.8%の56検体、9水域関連分の687検体中環境基準値を超えたものが2.9%の20検体である。環境基準値を超えた検体に係る水域は、第4-7-3表のとおりであり、これらの水域においてその原因を明らかにし、所要の対策を講ずることとしている。
 

 
 底質
 底質調査は、全国47都道府県の635水域の5,186検体について行った。水域ごとに定められる底質の暫定除去基準値を超えるものは、25水域の120検体(全体の23%)であり、9水域関連分を除く、523水域の3,780検体について見ると18水域(3.4%)の69検体(1.8%)である。なお、県市単独調査により、12水域の570検体中暫定除去基準を超えたものが2水域の138検体(全体の24%)である。底質除去等の対策を要する水域は、第4-7-4表のとおりであり、既に除去等の工事を完了したもの及び現在除去等の工事中のものが大部分である。その他のものについても、詳細な調査のうえ速やかに除去等の対策を講ずることとしている。
 なお、底質汚染の除去等にあたっては、2次汚染の発生防止に努める等慎重に実施するよう指導を行っている。
 
 
 
 
 
 
 

土壌農作物等
 土壌調査は、47都道府県の一般調査469地点、23都道府県の水銀取扱工場周辺58地域の詳細調査238地点の合計707地点について調査を行った。土壌中の総水銀濃度は、一般調査では、総水銀がND~5.36ppmであり、大部分が1.5ppm以下であった。また、詳細調査では、総水銀が0.07~6.7ppmであり、その大部分が1.5ppm以下であった。なお、有機水銀についても分析したが、メチル水銀、エチル水銀ともほとんど検出されなかった。
 農作物等調査は、一般調査464地点、詳細調査238地点の合計702地点の調査を行った。玄米中の総水銀の濃度は、一般調査では、ND~0.17ppmであり、その大部分が0.01ppm以下であった。詳細調査では、総水銀がND~0.12ppmであり、その大部分が0.01ppm以下と一般地域に比較して必ずしも高くはなかった。なお、有機水銀についても分析したが、メチル水銀、エチル水銀ともほとんど検出されなかった。
 今回の調査では土壌中の水銀は農作物に吸収され難く、土壌中の水銀濃度が増加しても農作物の水銀濃度は増加するとは限らないことが裏付けられたが、土壌中の水銀濃度が比較的高い地域については、引き続き土壌農作物の調査を実施するとともに、水銀の分布、汚染経路等を明らかにし、必要に応じ排出源対策を講ずる必要がある。
 

イ 水銀に係る環境基準の改定等
 アルキル水銀及び総水銀に係る環境基準及び排水基準は、当時妥当とされた測定方法により、魚介類又は飲料水の摂取による人体影響等から判断していずれも「検出されないこと」(定量限界は、アルキル水銀で0.001PPm、総水銀で0.02ppmである。)と定められていたが、その後、水銀に係る魚介類の暫定的規制値が定められたこと、48年度の全国環境総合調査等により環境汚染と魚介類汚染に関するデータが増加し、その関係の考察が可能となったこと、分析技術の進歩と分析機器の普及に伴い、低濃度の分析が可能となったこと等の科学的知見が拡大して来たので、49年9月30日に改定強化した。
 すなわち、その環境基準については、生物濃縮比を考慮し、総水銀にあっては、年間平均0.0005ppm以下であること(ただし、河川において自然的原因によりこれを超える場合には、年間平均0.001ppmまで許容できるものとする。)、アルキル水銀にあっては「検出されないこと」(定量限界0.0005ppm)としている。また、排水基準については、総水銀にあっては0.005mg/リットル以下であること、アルキル水銀にあっては、「検出されないこと」(定量限界0.0005mg/リットル)とした。
 

ウ 健康調査の実施
 48年5月、熊本県の委託を受けて研究を行っていた熊本大学第2次水俣病研究班が、熊本県有明町に水俣病様患者がいるとの報告を行い、いわゆる第3水俣病の問題が提起された。環境庁では有明海沿岸4県及び山口県に対して必要な指導、助成を行い、沿岸住民9万7千余人を対象とした健康調査の実施を図った(第4-7-5表参照)。健康調査の結果については水銀汚染調査検討委員会健康調査分科会において、48年8月から49年7月までの間にわたり慎重な検討が行われた。その結果「過去に水俣湾で海上生活をしていた者1人を除き、現時点では水俣病と診断できる患者は見いだせないと判断する」旨の結論がまとめられた。
 
 
 

エ 排出源の状況
 新たな汚染を防止するため、排水及び廃棄物の適正な処理及び処分が必要である。
 排水については、46年5月に「水質汚濁防止法」に基づく排水基準を定め、全国的に厳しく規制したことにより、著しく改善された。なお、分析技術の進歩等により、49年9月に、産業廃棄物の判定基準とともに排水基準を強化した。
 廃棄物については、46年9月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく保管基準及び処分基準を定めた。これ以前のものにあっては、主として工場敷地内に、一部は敷地以外に、保管、埋設され、そのほとんどが周辺水域等の水質の状況から判断して問題ないと認められる。更に、一部については、コンクリート、粘土等で被覆して、降水時等の浸透及び流出防止を図る等の対策を推進することとしている。

 

 

 

 

  昭和49年

 

  有害物質による蓄積性汚染

 有害物質による蓄積性汚染の脅威は、まず人体に対して深刻な影響を及ぼすおそれが高いことである。48年12月末現在でこれらの蓄積性汚染物質による公害病認定患者数は熊本県及び鹿児島県水俣病患者616人をはじめとして合計1,079人にものぼっている。
 有害物質による蓄積性汚染が深刻な健康被害をもたらすのは、これらの蓄積性有害物質が次のような特性を有しているからである。
 まず、これらの物質は難分解性を有するため、一たん環境中に放出されると、いつまでも蓄積することとなる。例えば、水俣湾では、工場からの水銀の排出は、数年前から行われていないにもかかわらず、既に放出された水銀が蓄積しているため、水俣湾の大部分において、水銀を含む底質の暫定除去基準値(水俣湾の場合は25ppm以上)を超える水銀濃度が検出されている。
 PCBについてみると、40年から47年までの間に全国約1,200工場で使用されており、これらの工場に対する都道府県別の出荷量は、第1-5表のとおりである。
 
 
これらの工場に対して、現在は行政指導により排出規制やPCBの使用規制が行われているが、過去においては相当量のPCBが電気機器、熱媒体、感圧紙等各分野において使用され、その一部が環境中へ放出されていたことが予想される。第1-6図は、全国の水質、底質及び魚介類のPCB汚染の実態を示したものであるが、これによると、広範囲にわたって、PCBにより環境が汚染されていたことがわかる。
 
 
 
 
 

 次に、これらの蓄積性有害物質は、水中等環境中における濃度が低くても、藻類や魚類に吸収され、その体内で濃縮される傾向がみられる。例えば、PCBについては、ヒブナとシジミをPCB濃度0.001ppmの水槽中で飼育したところ、30日目にはそれぞれの体内から0.55ppm、0.4ppmの蓄積が認められ、550倍、400倍の濃縮倍率を示した実験例(新潟大学医学部)がある。水銀については、現在のところ十分な知見は得られていないが、特にメチル水銀の濃縮倍率は相当高率になるものといわれている。
 しかも、これらの蓄積性汚染物質を生体内に濃縮した生物を食物連鎖において上位のものが摂取するため、いわゆる生物濃縮の傾向が認められることが問題である。第1-7図は、琵琶湖におけるPCBの汚染実態調査の結果を示したものである。
 
 
 
 本調査は生物濃縮の実態を厳密には握するために必要な各生物の環境水等からのPCBの吸収量の相異、汚染地域での生息可能性の有無等を十分考慮したものとはいえないが、本調査によって得られた当該水域の生物のPCB濃度を相互に比べると、食物連鎖において上位にあるものほど汚染が著しい傾向がうかがわれる。藻類に比べ食物連鎖上高次にあるオイカワ(コイ科の淡水魚の一種)のPCB濃度は7~17倍にもなっている。また、野鳥は魚介類を摂取するものが多いため、PCB汚染水域に生息するものには、更に高濃度のPCBを含有する可能性が高く、例えば琵琶湖周辺の守山市で捕獲されたカイツブリの脂肪中からは144ppmのPCBが検出されている。
 
 
 
 
 
 

 食物連鎖上、人間は常に最上位にあることを考えれば、当初は環境中に広く排出された濃度の低い蓄積性有害物質も食物連鎖を通じて次第に人体に高濃度で蓄積される場合があることが懸念される。
 蓄積性汚染の脅威のもう一つの面は魚介類、農作物等を汚染し、食物としての許容限度を超えて有害物質を蓄積させ、商品としての市場価値を失わせること等によりいわゆる生業被害を発生させるおそれがあることである。
 特に、48年5月から6月にかけて、水銀、PCBによる魚介類の汚染問題を契機として需要が著しく減少したため、漁業者のみならず水産加工業者、流通業者等関連中小企業者に対し大きな被害が生じ、一部の水域においては補償問題を巡って漁業者が水銀使用企業に対しいわゆる海上封鎖を行う等の事態も生じた。
 この被害を救済するため、昨年の国会で成立をみた「水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者に対する資金の融通に関する特別措置法」に基づき、被害漁業者及び関連中小企業者等に対する低利融資措置等の対策が講じられ、48年12月末までの融資実績は、漁業者関係で約165億円、鮮魚商等関係で約81億円に達している。まぐろ漁業者及びはまち養殖業者についても、別途の措置により、49年1月末までに約74億円の貸付けが行われた。
 カドミウム、銅等により各地の農用地の土壌が汚染された結果、稲等の農作物も相当程度の被害を受けている。重金属による土壌汚染が懸念される農用地の面積は、45年度の農林省の調査結果によれば約3万7千haにのぼると推定されている。
 このように、有害物質による蓄積性汚染は、人の健康と財産に深刻、かつ、長期的な影響を及ぼし、国民生活を脅かすこととなるが、更にその解決を困難にしていることは、既に環境中に放出されたこれらの物質を除去し、若しくは封じ込めるためには、高度の技術と多額の資金を要することである。特に、しゅんせつ事業等については、事業の実施に伴い二次汚染が発生するおそれがあり、これを防止するためには高度の技術を要しよう。これらの公害防止事業に要する資金については、汚染原因者である事業者が当該公害に関し、その事業活動が原因となった程度に応じて負担することが基本であるので、事業者の負担は相当の額になるものと考えられる。
 49年2月末までに環境庁が各県等から報告を受けたところによると、これらの蓄積性汚染を防止するため、地方公共団体が公害防止事業費事業者負担法に基づき実施している公害防止事業の事業費総額は、約141億8千万円にのぼっている。その内訳は、しゅんせつ、覆土等の底質汚染防止事業(有害物質によらない汚でいの蓄積による汚染を含む。)が9件、約115億6千万円、農用地の客土等の事業が4件、約26億2千万円であり、これに対する事業者の費用負担額は、前者が約85億8千万円(総事業費に対し平均74.2%)、後者が約19億4千万円(同74.2%)とかなり高額なものとなっている。
 今後も各地の汚染の実態が明らかになるにつれて、これらの公害防止事業を実施する必要性は高まるものと予想され、これに対する事業者負担も相当額にのぼるものとなろう。これに関連して、休廃止鉱山による汚染農用地の客土事業の場合等は、過去に汚染の原因となった事業活動を行った事業者が解散等により現在存在しない場合もあるので、これらの公害防止事業の実施はより複雑かつ困難な問題を抱えているといえよう。
 次に、蓄積性汚染物質がどのような経路を経て、環境中に放出されたかを水銀を例にとってみてみよう。
 
 
 
 

 我が国における水銀の生産から使用、廃棄に至るまでの経路は第1-8図のとおりである。これらの各用途における過去20年間の水銀消費量は、第1-9表に示すとおりである。
 
 
 

 これによると、苛性ソーダ、農薬、機器計器、触媒として使用されていたものが多い。各用途における水銀使用量はこれまでにかなり大きく変化しており、35年から40年頃は農薬や触媒等にも相当量使用されてきたが、最近では農薬用や触媒用等の水銀使用量の減少に伴い、水銀使用量のかなりの部分が苛性ソーダ製造用に向けられている。
 すなわち、用途別にみると、農薬用は、主に有機化合物の形で殺菌剤に利用されてきたため、これらの生産や使用の過程で、相当量の水銀が環境中に排出されてきたものと考えられる。しかしながら、有機水銀を主体とする水銀系農薬の生産は種子消毒用を除き45年3月から禁止され、種子消毒用も48年10月をもって生産が停止されており、近年はほとんど使用されていない。
 触媒用も従来主としてアセトアルデヒドやアセチレン法塩化ビニルモノマーの製造用として使用されてきたが、近年では、すべてのアセトアルデヒドが、また大部分の塩化ビニルモノマーがカーバイドを原料とし水銀を触媒として生産する方式から、エチレンを原料として生産する方式へと製法の転換を行っており、近年の使用量は非常に少ない。
 更に、腐食防止用として、船底塗料用やパルプ製造用に使用されてきた水銀や一般大衆薬品用として使用されてきた水銀も、数年前から行政指導により使用が中止されている。
 そして、最近では、水銀使用量のほぼ7割が苛性ソーダ製造用に向けられている。
 
 
 
 
 
 

 第1-10表は、各国の水銀の用途別需要量を示したものであるが、我が国においては、苛性ソーダ工業用の水銀需要が諸外国に比べて多い。苛性ソーダ製造方法をみても、我が国では、水銀法によるものが47年における苛性ソーダ生産能力の96%を占めているのに対し、アメリカでは24%、カナダでは60%、イギリスでは90%、西ドイツでは89%、フランスでは70%という実態調査報告がある。
 
 

 水銀法苛性ソーダ製造工場においては、水銀を陰極に用いて原料塩を電解することにより苛性ソーダを生産している。この製造過程においては、特に、原料塩中の不純物が水銀と結びついたいわゆる塩水マッドが生じたり、各工程における洗浄水に水銀が逸出したりしていたが、排出規制が実施される以前は、これらの水銀が完全には回収されずに環境中に放出されることがあったものと考えられる。
 第1-11表は、苛性ソーダ製造工場の年次別排水中の水銀含有量の変遷を示したものである。このように排水中の総水銀濃度は最近では低くなってきているが、過去においては、かなりの量が公共用水域や大気中に放出されていたものとみられる。
 
 
 

 これまで環境中に放出された水銀の全体量を把握することは困難なことであるが、例えば、昨年行われた水俣湾等緊急に調査を行うこととされた9水域についての国の調査結果によると、工場の総水銀使用量約4,100トンに対し、排水中に含まれて流出したものが約96トンと見込まれている。

 

 

 

 

転載元: 底質汚染(ダイオキシン・PCB・水銀・放射性物質)


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